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インタビュー #1 二上松男さん


INTERVIEW


INTERVIEW


住みよい地域づくりのために行政の手の届かない部分を補っているのが、各地域にある自治会(町内会)という組織です。所沢市にも数多くの自治会・町内会が存在しています。

昨今、自治会の存在意義や加入率の低下がささやかれる中で、所沢市内の町内会長さんはどんな想いで町内をまとめ、仕事にあたっているのでしょうか。

街づくりに関わる人へのインタビュー・第一回目の今回は、私たち北斗グループが加入している西所沢町内会の会長である二上松男さんに、現在抱えている課題や街の魅力も含めてお話を伺いました。

 

二上 松男(ふたかみ まつお)さん
1945年、所沢市西所沢町生まれ。下駄の製造販売を営んでいた「二上履物店」の長男として生まれる。高校卒業後は家業に入らず、「ソニー株式会社」に就職。ラジオの設計や製造、電話部門の立ち上げなどに携わり、定年まで42年間勤め上げる。定年後は西所沢商栄会(西所沢駅から所沢駅に向かうエリア周辺の商店街)の会長を務め、その後10代目の西所沢町内会の会長に就任。現在は「二上履物店」の二代目として夫婦で商売を営みながら、町内会長としてさまざまな活動に取り組んでいる。

 
 
 


二上履物店

この立て看板は二上さんの手作りだそうです

 
 

常に問題意識を持つ習慣付けなどは、
サラリーマン時代に身に付けたもの

 


――現在履物店を営まれていますが、お店はいつ頃継がれたのですか。
 
「父親が亡くなった昭和59年(1984年)に継いだ形になりますが、その当時私は会社勤めをしていたので、家内が店の仕事をしてくれていました。私が家業に専念するようになったのは定年後。それまでにも商店街や町内会のイベントなどはよく手伝っていましたが、商売の方はほとんど家内に任せていましたね」
 
――ご職業は、家業とは全く違う業種を選ばれたのですね。
 
「はい。生計を立てるための職業を選びました。うちの履物店も、かつては下駄の製造販売が主だったんです。昔この辺りは、子供が生まれると桐の木を植える習慣がありましてね。それが成人する頃にちょうどいい大きさになるので、その桐を買い取って、代金の代わりに下駄を納品するという、物々交換のようなことをやっていたわけです」
 
「それも昭和35年(1960年)ぐらいがピークだったでしょうか。靴の普及に伴い、だんだん商売が難しくなってきまして。これでは将来生活していけないだろうと思い、高校は電気科に進み、ソニーで働くことになったのです」
 
「会社員時代には、さまざまなことを学ばせてもらいました。そこで得た教訓が、現在の町内会の仕事にも多く活かされています。常に問題意識を持ち、アンテナを張り巡らせる習慣付けも、その一つ。物事に優先順位をつけ、やれる事から進めていくという仕事の仕方なども、会社員を経験し、ソニーにいたからこそ得られたノウハウかもしれませんね」

 
 


西所沢商店街

以前は商店街で買い物をして点数が貯まった方には旅行の招待なども

 
 

昭和40年代の西所沢には約70店舗あった小売店。
バス10台で日帰り旅行に行った思い出も

 


――昔と今では、商店街も随分と変わられたのでしょうね。
 
「そうですね、昔の商店街の光景からはすっかり様変わりしました。今は飲み屋さんなど他の団体の加入者が多いのですが、昔は日用品を扱っている小売店ばかりでしたからね。昭和34年(1959年)から8年前(2009年)まで『お楽しみ会』という組織がありまして、100円お買上げごとに1点をあげて、それを365点集めてもらうと“日帰り旅行に招待” するという事業をやっていたんです」
 
「このチラシは昭和40年代ぐらいのものですが、加入している店舗だけでも約70店舗。日帰り旅行を父親の代わりに付き添いで行くことがあったのですが、バス10台で行った記憶があります」
 
――その頃は、商店街に活気があったでしょうね。
 
「そうですね。人通りも多かったですね。今は魚屋さんも、米屋さんも、八百屋さんさえなくなってしまって、小売店は10店舗ぐらいになってしまったでしょうか。スーパーもあり、インターネットで商品を買える時代ですから、対面販売というのは難しくなってしまいましたよね。『リアル店舗』という言葉も出始めているので、見直される時代が必ず来るとも思いますが。それでも、昔のようにはなかなか難しいでしょうね」

 
 

任期中に西所沢会館のメンテナンスを実施。
近所トラブルや苦情にも対応する日々 

 


――どのような経緯で、町内会長になられたのですか。
 
「最近は、町内会の役員の中に必ず2、3人、商栄会の役員が入っている傾向がありまして。私も商栄会の会長をやっていた関係で、既に4年ぐらいは町内会の副会長を務めていたんです。だから、ごく自然な流れで町内会長になったように思います」
 
――町内会長さんは、具体的にどのようなお仕事をされているのですか。
 
「一番大きな仕事は、『Plan(計画)・ Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)』。西所沢を住みよい街にするための事業をプランして、それを実行に移すことだと思います」
 
「不具合を直したり改善する事もその仕事の一つです。例えば、『西所沢会館』がちょうど設立から20年経ったので、あちこち傷んできましてね。これまでに畳を新しくしたり、備品倉庫を設けたり、電気代を減らすためのLED化を行ったりしました。今もエアコンを省エネタイプのものに替えようかと検討中で。私があと何年会長を務めるかはわかりませんが、任期中に西所沢会館は何とかしようと考えているところです」
 
――町内会長の仕事で、一番大変なことは何ですか。
 
「いろんな苦情が寄せられることでしょうか。極端な例でいえば、隣近所の喧嘩にも対応することがあります。双方の話を聞くことはできますが、どちらの肩を持つわけにもいかないから大変なんです。時には7枚ぐらいの便箋で、相談内容が送られてくる時もありますよ」
 
――逆に町内会長になって、よかったと思うことはありますか。
 
「他の町内会の人と交流ができることでしょうか。お互いに、いい所を引き出しあえますからね。また、いろんな人を知ることができたのも大きかったと思います。“面識=財産”、これが私の信条ですから」

 
 



 
 

加入率の低下やマンション住人との交流が課題。
町の高齢化に対して、町内の縁を広げる企画も

 


――現在、町内会で抱えている課題は何ですか。
 
「まずは、やはり加入率の問題ですね。2,822世帯のうち、1,750世帯(約2/3)しか入っていない状況なので、もっと上げていきたいと考えています」
 
「例えば、西所沢町の町内会費は月200円(年間2,400円)なんです。所沢市の中でも安い方だとは思うのですが、ワンルームやアパートの人にはさらに会費を抑え、アプローチをかけてみようかと考えているところです」
 
――町内会に入るメリットについては、どのようにお考えですか。
 
「メリットの前に、町内会の役割があまり理解されていないように感じています。例えば、防犯灯の維持管理は町内でやっている事をあまり知られていないですよね。行政の仕事だと思われている方が非常に多い」
 
「行政が設置するのはあくまで公共の場所や道路であって、生活道路に関しては自治会の守備範囲とされているのです。中には「街灯は必要ない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、同じ町内に必要としている方が大勢いることをご理解いただければと思っています」
 
「よく加入するメリットがわからない、関係ない、と言う方がいるのですが、ゴミの問題など、誰もが必ず町内と関わり合いを持って生活しているはずなんです。だから町内会費は、いわゆる“共益費”だと私は思うんですよ。その辺りの理解がもっと深まってくれればと思いますね」
 
――町内会には、地域とつながりを持つという意味合いもありますよね。
 
「その通りです。よく結婚式に呼ばれると“縁”の話をしてきたのですが、今この西所沢町に住んでいるのも、確率の低い中で“縁”があったからこそだと思うのです。だからこそ、その縁を大事にしてほしい。盆踊りや餅つき大会、ところざわまつりなど、何かしらの行事に参加して地域の人と交流を図ってほしいと願っています」
 
――マンションの方達との交流も、課題にされているようですね。
 
「はい。この地域はマンションが多いので、その方達との交流は現在抱えている最大の課題とも言えるところです。以前は回覧版を回してもらっていたのですが、今ではロビーに貼ってくださいと言われてしまいますからね」
 
「今、課題解決の一つの取っ掛かりとして考えているのが、避難訓練です。町内会の中にはある自主防災会をマンションの中でもつくってもらって、合同で訓練を行えないかと思案しているところです」
 
――若い方達ほど加入率が低いイメージがありますが、その辺りはいかがですか。
 
「そうですね。それもありますが、最近では年配の方でも『回覧板をもらっても読めないから、やめさせてください』と言う方がいます」
 
――そうすると、年配の方の近所づきあいが益々減ってしまいそうですね。
 
「そうなんです。うちの町内でも65歳以上の方が約1/4(25%)ほどいますからね。高齢の方ほど、町内のつきあいを大切にしてほしいと思っているところです」
 
「例えば、町内会が補助金を出しているイベントの中で、西所沢会館で行われている“元気アップサロン”というものがあるんです。
この前だとバルーンで雪だるまをつくって、その後お茶をして帰ってもらったという内容のイベントなのですが、そういうものにどんどん参加してもらえると嬉しいですよね」
 
「高齢になるにつれて病院へ行くというのではなく、早めにリハビリをするために通ってもらいたい。よく『生涯“キョウヨウ”と“キョウイク”は大事だよ』というお話をさせていただくのですが、“今日用があって、今日行く”という事が認知症の予防にもつながると思うのです。用事があってどこかに出かけるという事を続けてほしい。そのためにも、私達はもっと町内会のPRをしていかなければと思いますね」

 
 


ところざわまつり

「ところざわまつり」での山車の引き回し

 


三ツ井戸弘法大師祭礼

毎年夏に行われる「三ツ井戸弘法大師祭礼」

 
 

近所に声をかければ、アドバイスをしてくれる街。
若手の活躍の場として貴重な、青年部の存在も

 


――西所沢町の魅力はどんなところにあると思いますか。
 
「まず、町名に“所沢”が入っているところではないでしょうか。所沢は“航空発祥の地”だったりと、いろんな意味でブランド力がある。知られている所沢の名が付いているのは大きいと思います」
 
「また、駅に近いのも魅力ですね。帰りが遅くなってもタクシーを使わなくていいでしょう。駅の開発に関しては置き去りにされてしまった感がありますが、それでも住むにはいい場所だと思います」
 
「私の子供たちも一緒に住んでいた頃は『こんな所なんて……』と言っていたのに、いざ結婚して他の市に住むと、『今まで何て便利な場所に住んでいたんだろう』と言うぐらいですからね」
 
――他にも、他の町と比べて西所沢町がいいと思うところはありますか。
 
「西所沢町はね、組織がすごくいい雰囲気なんですよ。町内会と商栄会、そして若い人達の団体で“桜もみじ会”というのがあるのですが、とてもいい関係が築かれています」
 
「他の町内会では、後継者を育てるのに青年部をつくりたいという話が良く出るのですが、西所沢町には既にありますからね。
25、6年前ぐらいに若手の活躍の場をつくるという目的でつくられて、今も30人ぐらいが活動してくれています」
 
「子供神輿や大人神輿、東川の清掃などでも活躍してくれていて。ソフトボールチームなどで普段からそういう若い人達と交流ができているので、何かやろうというと協力してくれるんですね。若い人達の活躍の場があるのは、よそに負けていないところだと思います」
 
――これから西所沢町に住もうと考えている方に、何かメッセージはありますか。
 
「この町で何かやりたい事や相談したい事があった時は、近所の方にぜひ声をかけてみてください。必ずいいアドバイスや情報がもらえるはずです。近所のおばさんだって知恵を貸してくれます。あそこに行けばなんとかなるって感じでね。新しいことを始めるには、とてもいい土地柄だと思います」
 
――町内会長さんとして、今後の目標を教えていただけますか。
 
「やはりよい人材を集めるためにも、マンション住まいの方達とは交流を図れるようにしたいですね。町内会長の役目って、結局は人集めなんですよ。私たちとは異なるアイデアをどんどん出してもらって、新しい時代を築いてもらいたい。そのためにも、貴重な人材や非凡な才能を吸い上げるような気持ちで人集めをしたいと考えています」

 
 
 
 

- インタビューを終えて -


町内会への熱い想いを、終始にこやかに語ってくれた二上さん。
苦情に対応したり、加入率の問題に取り組んだりと日々苦労を重ねられているにも関わらず、地域愛と、町を良くしたいという熱意がひしひしと伝わってきました。
それはおそらく、先代の方達が築き、町を守ってきた姿を身近で見てきたからでもあるのでしょう。
 
知らず知らずのうちに、私達はこうした方達による自治組織に守られているのではないでしょうか。
私たちは少しでも、自治会をはじめとした地域活動の取り組みや携わる方の想いを地域の方に知っていただくために、今後もこのようなインタビューという形で広報支援を行っていきたいと思います。


INTERVIEW

 

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